VR :
これが使用頻度によって劣化するのはやむを得ないところです。
一般的な VR は、燐青銅などのバネ材が VR 内側に塗布したカーボン上を摺動して、
端子とバネ接触点間の塗布カーボン抵抗膜の長さの変化=抵抗値変化とした構造です。
金属が柔らかいカーボン上を摺動するのですから、摩耗が起こり(規定抵抗値が変化)、
一部に剥離が生ずれば、ガリが出ます。構造的に防ぎようがありません。
昔から、通測用密閉型(高価)はラジオ用の開放型(安価)よりも故障が少ない!と言う人もいますが、
構造は全く同じで、外部からホコリが入るかどうかの差だけです。
実際上は、家庭の室内で使いますので、ある程度?掃除が行われていますので、
外部のホコリが侵入して障害を生ずる前に、VR の寿命がきます。
従って、その差は性能ではなく、外観と高価な部品(性能は一緒)を使ったと言う自己満足だけ
は言い過ぎかも知れませんが,当たらずとも遠からず,です。
( もし,ホコリによるガリならば,接点復活材で完璧に治ります )
これまでの経験から、寿命は 10 年程度と思います。
通測用・ラジオ用共に,大差なく,同じです.
もし,不具合が生じたならば,通常は,交換以外に対処法はありません.
さらにさらに、例え使用しなくても、経年変化により規定抵抗値も変わります。
手持ちの B100kΩ通測用の新品 VR (20年保管)を測ってみると,約200kΩ ありました.
この程度の経年変化は致し方のないところでしょう.
そんなんじゃあ困る,という方のためには,幾つかの良い部品があります.
手軽なところでは,
A&B の 2〜3W 型VR です.これは,金属摺動子の変わりにカーボン摺動子を使っています.
そのため,摩耗に強く,一般の VR と比較するとかなり寿命が長くなります.
価格は通測用の倍程度ですので,さほど問題にはなりませんが,
通常は,B 型が多く出回っていて,A 型などは滅多に入手できません.
さらに,シャフトがインチサイズですので,国産つまみをそのままでは使えません.
6.25mm のきりで穴を広げなければなりませんので,面倒です.
また,これとて万全ではなく,多少寿命が長いというだけです.
頻繁に回せば,早晩ガリが出てきます.
一生、交換しないで済むものもあります。
ATT です。
使用法は、VR がレベルを上げながら使うのに対して、ATT はレベルを絞るのに使うことです。
ATT には P 型、T 型、H 型があり、P 型は非平衡 Line 用、H 型は平行 Line 用、
T型は平衡・非平衡で共用できます。
大多数の T、H 型は接続インピーダンスが 600Ωですので、真空管使用回路では、
接続にトランスを用いる場合がほとんどです。
P 型は 100kΩ まであり,VR と同じ使い方が出来ます.
これは H 型 42dB の端子部分です.
ATT は通常 2dB ごとの減衰になります.
構造は,頭に銀板を貼り付けた,
総減衰量分のピン(直径数mm)を,P 型は 2 列,
T 型は 2 列,H 型は 3 列,円形に並べ,
そのピン上を銀板を挟んだ燐青銅の端子が
摺動します.使用抵抗は専用の固定抵抗です.
3〜40 年使っても,接触不良は起こりません.
例え、接触不良が出ても、裏蓋を外して簡単に研磨復旧が出来ます。
欠点は高価なことと,構造上大きくなることです.
P 型 100kΩ 2 連では,最小でも直径 40mm,長さ 60mm あります.
問題の価格ですが、新品 P 型 100kΩ 2 連は約2万円程度です。
気楽に買える値段ではありませんが、中古ならば、NHK から結構な数が
出てきますし、価格も 2〜5千円で買えますし、我々が使う程度ならば、
寿命は我々よりも長く、死ぬまで快適に動作すると思います。
ここで,所謂ショップ物と称する ATT は,大部分が一般ロータリー SW に
市販固定抵抗をハンダ付けした物がほとんどです.
ATT とよく似た構造の接点を持つロータリー SW (富士通製等)もありますが,
ショップ物 ATT は,基板素材がエポキシやテフロンになっただけで,接点構造は変わらず,
どう見ても接触不良が起こりそうなものを使っている場合が多いようです.
( ロータリー SW を参照 )
固定抵抗を使っているので,減衰量は正確に出来ますが,接点はロータリー SW ですので,
あっという間に接触不良を起こしますので,十分ご注意ください.
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