試作機

5687 & 12AU7 共用 Single Amp



5687は,黎明期のコンピュータに使われたパルス管です.
球は12AX7や12AU7などと同じ大きさのMT型の双三極管です.
ただし,ヒータは6.3v0.9Aと大きく,6V6の2管分,つまり倍もあります.

約 50 年ほど前に,小型管の太田として勇名をはせられた電電公社の伝送研究室におられた
太田 寛 氏の書かれた中で,特性が良いことを教えられました.
電算機用の真空管は大量に必要なため,膨大な量が生産され,尚且つ,
極めて短期間で磁気装置と半導体化されたため,驚くほどの安さで出まわっていました.

電算機用ですから,1 Unit でも故障をすれば働きませんから,厳格な使用期間で管理されていました.
要は,中古管でも限界寿命がきている球はまずないと言っても良い状態です.
実際にジャンク屋さんでは1本\50でいくらでもありましたので入手は問題外,且つ安い..

ところが,この球が直熱出力管の深いバイアス,大きな駆動電圧にはうってつけとの記事が出ると,
瞬く間に姿を消してしまいました.
何せ,Ep-Ip特性曲線を見ると,古典直熱三極管UX71Aに勝るとも劣らぬは言い過ぎですが,優れものです.

現在でも 新品で米国の大手メーカー製でも,\1500 程度で入手が可能と思います.
輸入の中古管ならば,おそらく,数百円で入手可能と思います.

BGM 用にはこれほど似合う球も無い,と,早速製作を行いました.
出力管は格安,従って前段にも高価な球は似合わない,そう考えると,
前段の電圧増幅は,5687よりも僅かに背の低い形状から 5670 が最も適任です.

残るは B 電源ですが,当初はシリコンダイオードで整流をしよう,
出力管が近代的な? MT9 ですからお似合いです.
そこで球を並べてみますと,何分にも出力管は,12AX7 と同型同寸,
小さすぎてなんとも味気ない,はっきり言って,みすぼらしい,としか見えません.
人によっては,可愛い,と思われる方もあるでしょうが,
もう少し球数だけでも増やそうと思ってしまいました.

そこで,整流管を使おうとすると,出力管が見た目では12AX7と同じですから,
出来れば同じか,出力管よりは小さいことが望ましい.
身近に入手出来るのは,6X4(70mA) 位で,形では最も釣り合いの取れる,6AL5,
しかし,プレートをパラにしても 19 mA では電流量が足りません.

5687 ステレオでは B 電流は 40mA 必要ですから,形状からは最も釣り合うのは 6AL5ですが,
両波整流では 5 本必要ですので,これは如何にもやり過ぎです.

これまで,pp で 3W 出力のアンプをこの Web 上で公開してきましたが,
そこでは 26Z5W と言う整流管を使いました.
形状は MT9 で 5687 や 12AU7 とまったく同じで,整流管としての出力電流は
コンデンサーinput の場合 325v 100mA ですから,まさにうってつけ,
ようやく入手しましたが,高価,尚且つ入手難,最も酷使する整流管ですから,
交換用を考えると,これは PP 時にしかもったいなくて使えません.

今回はやむなく 安価で入手も容易な 6X4 を使うことにしましたが,
なんと言っても,出力管よりも背が高い,姿態以外には何も問題ないので,
この際は良しとしました.

第 1 作は PP 構成,出力トランスは 1 次が 20kΩCT,2 次が 8Ω,
これを PP へ転用,ところが,出てくる音が今ひとつ気に入りませんでした.
何が悪い,波形を見ると,どうも PP 合成が旨くいっていないようです.
どうやら,バッタ物の出力トランスに不安があります.

そこで,元々 A1 級 PP でしたので,片側の配線を外してシングルにしてみました.
これならいけそうかなという音でした.

教訓,やはり PP にはそこそこのトランスを使わなければいけない.

しかし,このトランスを捨てるのも忍びない,そこで,元々の用法である
シングルに改装をすることにしました.
5687 ならば,20kΩCT の 0―CT で 5kΩ,ジャストフィットです,20kΩ は?
もったいないので,1/2-12AU7 とのコンパチとすることにしました.




568712AU7R.JPG Size:50KB
 


12AU7 を出力管?そんな球で音が出るの? ところが調べて見ると,
以外にも昔は使われていたんですね,動作例もありました,17kΩ負荷で0.38W.
手持ちには使ええる(エミッションテスト)球が5〜60 本ありますので共用です.

写真をクリックして頂ければ,全文が読めます.

肝心の12AU7s の出力ですが,一寸定格オーバー,現状の 5814 ならば定格内で,
0.3W 以上が 2次側で得られます.
音量は,製作兼,読書用兼,PC用兼用机の両サイドに置いてある P610 と Altec 408Eでは,
日中でも十分な音量が得られています.






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