真空管雑感

EL8



  浅野勇氏の製作発表した解説の中で,欧州多極管の3結は特性が素晴らしいとあり,
  これが並の発表者ならば,眉につばを付けるか,一笑に付すところです.
  しかし,浅野氏だけに,一度作ってみるか,と思い立ち,
  そのためには欧州多極管が必要ですから,安い球を手に入れるため,探していました.

  探していると,もちろん,欧州からの送料を含めてですけど,
  どうやら欧州の販売店よりも,国内業者の方が安い場合があることが解りました.,
  その原因は,どうやら中国業者が買い占めているためらしいと解りました.

  そこで,国内で探してみると,自宅近くの業者が安く販売していることが解りました.
  当初は EL3 を探していましたが,これは結構高くて物もなく,
  ヒーター電圧だけが異なる AL4 が安く売っていました.

  その時,球のリストを見ていると,見慣れぬ球 EL8 があり,値段が  \1000,
  と言うことにより購入しました.


購入してから,一体どんな球かと調べるという,まさに泥縄です.
ところが,この球の発表規格はほとんど無く,ヒータは 6.3v0.5A,最大プレート損失が 5W,
最大プレート電圧が 250v,電流は 20mA,これだけです.

届いた球を見た第一印象,まるで小さな「こけし」で,
顔と着物を書いたら,間違いなくこけしそのもので,形状が可愛い.

出力は,5極管動作では2Wとされていて,いわゆる小型ラジオ用の出力管です.
3結シングルでの動作例は,ありませんが出力0.6〜0.8W程度となります.
  (顧問のF教授の実測データがあります)

ソケットは,サイドコンタクトと呼ばれるタイプで,欧州独特,それも,主として
ドイツ系の球独特の物です.(ソケットの入手は問題ありません \300)

ドイツのホームページを見ると,最近は市販機器の電圧増幅用としても用いられています.
欧州では音の良い球(電圧増幅用)として宣伝されているようです.
  6SN7 では得られない良い音だそうです.

国内ではVALVO製が多く出回っています.他社製は残念ながら見たことがありません.
ただ,球はカーボンスートのため内部が見ないのはちょっと残念です.

電圧増幅管としてはともかく,出力管として用いようとすると,整流管に困ります.
出力管より小さいサイドコンタクト管に関する知識がありません.
EL8 の大きさより,整流管は EZ2 以外には選択の余地がありません.
形状の大きさからだけなら,EZ4 も同じですが,50mA もあれば 2ch ステレオが作れますから,
少々もったいない使い方になってしまいます.

顧問のF教授による試作機での測定によると,

Ebb:251.2v, Ec:-7.74v, Rk:425Ω, Ip:19.01mA, Pa:4.62w で,出力が0.8w程度のようです.

音も良いとの評が欧州で言われていますが,なによりも,こんな可愛い球のアンプ,
サイドコンタクトソケットを下付けにすれば,見た目はこけしを並べたようになりますから,
是非とも飾りとしても作っておきたい球です.




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