真空管雑感

EL5,EL6,EL12



Pilips 開発の5極出力管です.いわば,EL3の兄貴分に当たる球です.
EL5とEL6では,若干規格が異なりますが,ほとんど同じような球です.
最大プレート損失はいずれも18Wで,若干EL6の方が高感度です.

EL12はEL6とベースが異なるだけで,全く同じ球です.

米球における相当管は6V6とか6L6と言われていますが,それはプレート損失や,
出力においてのみであり,直線性では,比較にならないほどEL系列の方が良い.

三結にしたときのEp-Ip曲線を見ると,まるで古典三極出力管かと見紛うほどです.
特に,EL5は見事というしかないほど素晴らしい特性です.
しかもバイアスは浅くて,駆動が楽で,良いことずくめのようですが,
難点が無いわけではありません.



欠点はと言えば,そのソケットがサイドコンタクトであることです.
以前は入手が難しく,しかも,その価格は球よりも高いなどと言われていました.

今日では中国製が\300円で販売されているため,入手の面ではさほど問題ありません.
しかし,使うにはちょっと工夫がいります.
購入後,そのまま使うと,大切な球にダメージを与える可能性があります.
球を一旦ソケットに入れてしまうと,抜くことが極めて困難なことになりかねません.
この点だけは十分な注意が必要です.(失敗経験者談,笑)

もう一つの欠点は,球自身の入手難です.
欧州の球屋でも手持ちはもうほとんど残っていないようです.
むしろ,国内の方がまだ多く出回っているように思えます.
ただし,あればですが,6L6Gなどと比較すると,価格は比較的安いと思います.
特性と合わせて考えれば,絶対にこの系列がお勧めです,なんたって,Ep-Ip曲線は古典直熱3極管並です.



EL12は欧州でもかなり人気が高く,価格もそれなりに効果です.
私の知り合いが,EN12 三結は AD100n と同じ音がすると言っていました.

このEL12には近年に改良されたEL12Nがあり,電極は5極管では無く,
ビーム4極管だとも言われています.
最も,欧州では慣習的にビーム4極管も5極管という場合が結構あります.

この EL12N には RSD製があり,この球は国内でも(国内の方が)比較的入手が容易です.
EL12はかなり高価になってしまいましたが,EL12Nは非常に安く手に入ります.
最大B電圧が250vから425vへ大幅に上げられていますので,
多極管接続ではかなりの高出力が期待できます.(武末氏製作例を参照)

しかし,無帰還とするならば3結しかできませんから,あまり恩恵はありません.


その後,EL12とEL12Nを聞き比べてしましたが,確かに音の差はありますが,
以外によく似た音でしたので,こちらの方がC/Pは良さそうです.
ソケットは,かの有名なプロ用の出力管,EL156と同じで,形状もまるでEL156の子供のようです.

かなりの豪傑がEL156の代わりにEL12Nをさして使っていましたが,
やはりこれはかなり無理があります,親は親,子供は子供です.
見つけたら早めに購入することをお勧めします.(価格が上がりませんように)




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