真空管雑感

UX-45



  UX-50と共に一世を風靡した名3極出力管です.
  管球アンプ製作を趣味とする人で
  知らない人はいないと思います.

  劇場などで使われた大出力管,UX-50 に対して,
  家庭用では最も好まれた中出力管です.

  この球の後に登場した大出力管で,
  最後の名パワー管と称される2A3の半分の出力,
  それにもかかわらず,その音質から愛好者が絶えない球です.

  その音質は,深窓の令嬢にたとえられています.
  静かで淑やかな音は2A3と比較すると一目瞭然です.
  音は見えませんが.



30年以上前から入手難で,新品未使用,NOSと称せられる球はほとんど見かけませんでした.
  (この時代の球は白箱で新品はあり得ません. 白箱はすべて中古と考えるべきです)
戦前はかなり多く出回っていたらしく,高級アンプと言えば終段は 45 と言われたそうです.
最も,価格はすさまじく,並のサラリーマンでは手が出なかったとも聞いています.

ところが,ここ20年くらい前から,どこにあったのだろうと言うほどの量が輸入され,
量の多さのためか,価格はあまり変化していないと言う不思議な球です.

RCA の 2A3 が \3000,WE300B が \13000 だったときに,45 は \5〜6000.
現在でも,中古の可能性も排除できませんが,\10000 で十分購入可能です.
倍にはなりましたが,この間の物価上昇は約1桁,10倍近くになっています.
ある意味,ありがたいことです!

私は,音質的に,米球では,この 45 と 71A,10 の系列,WEの直熱3極管,
WE-300B,WE-275,VT-25A や VT-52 くらいが,欧州管に太刀打ちできる球ではないかと思います.
ちょっと待て,UX-50 はどうしたと仰る方もあるでしょう.
実は,UX-50 の音はあまりじっくり聞いたことが無いのです.m(_ _)m

その音質のわりには UX-45 は安い.

近年は中古完動品が多数出回り,入手は比較的楽になってきました.製造元の米国よりも
何時も輸入・購入している米国の業者よりも,日本国内の方が入手が楽で,
しかも安い?という不思議な状況です.
と,言うことは米国にも残数はあまり無いことになります.
あおるわけではありませんが,安い間に購入することが肝要です.

出力は 1.6W と一見非力ですが,高能率スピーカ(93〜95dB/W-m 以上)と組み合わせれば
十分 main Amp になり得ます.

標準的には,昔から使われてきた CR 結合で 27(76)-27(76)-45-80 ということになりそうです.
トランスドライブは素晴らしいとも言われていますが,このインターステージ・トランスの入手が困難です.




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