大型多極管の中で最もポピュラーで,且つ,聴感的にも定評のある球です.
また,この球は多くの有名市販アンプに採用された実績があり,国内名である
6CA7 より 開発元である欧州名の EL34 の方が一般的になりつつあります.
ところで,この球の悪評はあまり聞かれません.
曰く,すがすがしい音,きめ細やかな音,疲れない音,聴き疲れしない音,
そして惚けてない音.
三結シングルで6W,三結A級プッシュプルで15W がメーカー推薦動作であり,
家庭用としては十分すぎる出力が取れます.
ただ,音質的に好評なのは,そのほとんどがプッシュプルであったように思います.
その特性は,データから見る限りそれほど良いわけではありません.
先入観なしに特性を見ると,シングルでは無帰還で使えそうにありませんが,
実際には十分実用になります.
大量に生産された経歴から,今日でも入手は比較的容易です.さらに,ロシア,
東欧で生産継続され,中国で再生産されたために,安価に購入できます.
一方,開発元のフィリップスや,シーメンス,テレフンケン,フィリップスの
英国子会社であるムラードなどや国産の松下,NEC,日立などはとんでもなく
高価です.
特にムラード製は,一部の雑誌社とそのレギュラー執筆者が,真空管輸入業者と
結託してこの球を宣伝し,正直で疑うことを知らないマニアが
巧くのせられたために生じた異常高値,ちょっと非常識な価格,ではないでしょうか.
真空管開発初期には,技術水準は欧州が米国や我が国よりも高かったと思います.
しかし,EL34を生産していた最近(でもないか?)には,生産国やメーカーによって
技術力の差はほとんど無いと思います.特に値段差ほどは!
購入する時は十分に注意しましょう!!