真空管雑感

UY-47



米国系では,最古参の多極出力管です.直熱五極管で,
形状はST16です.2A3 などと同じ大きさです.

この球は,247 - 47 - 2A5 - UZ-42 - 6F6 - 6F6-G - 6F6GT 
と発展し,我が国でも,多くの電蓄の出力管として使用されました.
UY-47 はそのルーツとなる球です.

6F6 三結は,オルソンアンプに使われ,その音質は,
定評のあるところですし,UZ-42 の三結シングルは,
昔,製作し,なかなか魅力的なアンプでした.

従って,UY-47 の三結シングルも高音質が期待できそうです.
事実,製作記事も,インターネット上には,しばしば見受けられます.

ところが,いざこの球で Single Amp を作ろうと思うと,問題があります.
浅野氏の著書にもありますが,5 結無帰還では実用になりません.
帰還を掛けてしまうと,直熱管のおもしろみは無くなってしまいます.
ここは得意の 3 結が最も良さそうです.

ところが,傍熱化した後の 2A5 以降の球については,三結時のデータも
容易に入手可能ですが,UY-47 に関するデータはあまり見つかりません.

高効率・大出力のために,わざわざ開発した最初のペントードですから,
三結にするなど考えるはずもありませんので,ま,当然と言えば当然です.

形状は,UZ-42 や UX-45 などより一回り大きく,なかなかドッシリとしています.
外観は45と比較して押し出しがあり,さすがにST16のことはあり,見栄えがします.
電極の形状と大きさは,UX-45 とよく似ています.
無論,2個のグリッドが追加されていますので,厚みはかなり違います.

出力は,6F6 類似と考えると,三結シングルで,0.7〜0.8w 程度です.
高効率シングルコーンならば,実用になるでしょうし,当研究所の SP では十分な出力です..
定格いっぱいまで使うと,三結でも 1.5w 位は出そうです.

探してみるとあるものです,しかも実測データです.
Net 上にある実測データを拡大印刷して,負荷曲線を引いて求めたオペレーションです.
ぎりぎりいっぱいではありませんが,そこそこの負荷状態です.

Eb:250v, Ip:38mA, Ec:-16.5v, Rk:435Ω, RL:4kΩ, Pout:1.5w

プレート損失+スクリーングリッド損失は 9.8wです.
少々安全を見るならば,Rk を450Ω とすれば,損失は 9.5w 程度に収まります.
Ip を 31mA とすれば(42に倣って),出力は 0.7w 程度です.
この程度の出力差は,多分聴感上の差がないと思います.

直熱管であり,電極も見た目は良いのですが,なんと言ってもペントードです.
そのためと思われますが,嬉しいことに値段はかなり低めです.
現在,\3000 程度で RCA 製が入手できると思います.
良く探せば,他社製ならば \2000 でもあると思いますし,
ヤフオクなどでは,\2000 以下の場合も・・.
安さに惹かれて買い集めている内に,いつの間にか手持ちの球が,
各社を取り混ぜて,10本以上になってしまいました.
         ハハハ,どうしましょう・・・・.

この球でアンプを組むとすると,
整流管には,80,5V4G,5R4G,5U4G,5Z3 などが合いそうです.
前段は,バイアス電圧が,-20v 程度ですから,1段で十分でしょう.
ミラー効果を考慮すると,低内部抵抗の球が有利ですから,
6SL7GT,6SJ7(三結)あたりかな?と思います.

音質は45-45-47の試聴記をご覧ください.




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