真空管雑感

6BX7GT


<写真>

  この球は,テレビの垂直発振増幅管であり,元来オーディオ用ではありません.
  双三極出力管ですが,この片ユニットを取り出し,プレート損失を向上させた,
  日本独自のオーディオ用純三極出力管が6GA4 であり,手軽な出力管でしたが,
  現在は在庫品薄のため,かなり(極端に?)高価な球となってしまいました.

  一方,6BX7 は,テレビ用として多用されてきましたので,
  メーカーも多く,現在でも安価に,かつ大量に供給されています.
  ある意味,貴重な純三極出力管です.

  国産三極出力管には,6RA8 や 6CA10(50CA10)などもありますが,
  いずれも多極管を内部三結にした,いわば見かけだけの三極管で,
  厚化粧などでは無く,仮面をかぶった三極管です.



6BX7 は純三極管ですが,ただ,出自が出自だけに,その特性は芳しくありません.
テレビの垂直発振では直線性など問題では無く,如何に高感度にするかが重要です.
従って,Single での使用は NF のお世話にならないと,特性的にはいただけません.

その代わり,1本で pp を組める点は便利であり,価格的にも有利です.
球の配置や配線もコンパクトにまとめることができます.
 一方.出力用のユニットが2個封入されているため,お互いの熱による影響のため,定格が低くなっています.

そのため,A 級 pp では,250v を供給して,5〜6w を取り出すことが限度です.
昔からアイドリング時の発熱を抑えるためも有り,AB1 級で使う場合が多かった球です.
実際に使っている出力領域は,0.1W 程度が多いため,この領域では A 級ですから問題はありません.

高感度な球ですから,バイアスが浅く,PP でも,使われるのも簡単なアルティック型の回路で十分であり,
双三極管や複合管を使えば,前段は1本で済ませることができ,安く・手軽に製作が可能です.
実際に雑誌などに発表された回路も,12AX7 や 6AN8 が用いられ,多くはそうなっています.
昔は NFB 全盛期が続きましたので,通常は 20dB 位はかけられていました.
今日では,むしろ無帰還が増えてきましたので,前段も低増幅率の球が用いられるようになり,
調整作業も非常に簡単で,長期にわたって無調整で働かせることが出来るようになってきました.



  上の写真は東芝の6BX7で,いわゆるGT管ですが,下の写真はRCAの新型?管です.
  袴が無くなり,見た目では何となくマグノーバル管のようです.
  昔の人,私はまだと思っています(~~;)が,何となく締まらないと嘆きます.

  最近入手される場合は,よく見てから(販売店に聞いてから)
  購入されることをお勧めします.

  見方に依れば,これはこれで結構面白いかなとも思いますが,
  如何なものでしょうか.

  ただ真空管の抜き差しにはガラス管部を持つしかありませんので,
  ベースの取り付け部分の強度はちょっと心配です.
  特に,まだ球が熱いときは,かなり注意をする必要があります.



この球の音ですが,約30年前に製作したプッシュプルアンプが手持ちにあります.
当時は主流でしたが,20dBのNFBにより,最大出力10W,
最低歪み率が0.1%以下の「高性能」ですが,残念ながら,のっぺらぼうな音です.

特に真空管と断らなければ,市販アンプと変わらない音が出ます.
構成は;6AN8A(P部)-6AN8A(T部)-6BX7-Tango U15-8 シリコン整流です.
NFB 回路を補正回路共々はずしてみますと,なかなか力強い音で,
ノイズは増えましたが,レコードのスクラッチノイズに比べると,問題にはなりません.
それよりも,感度が高すぎて使いづらいことこの上なく,やはり抜本的に改修する必要があります.

Ver.2 は,無帰還 の予定です.増幅度はそれほど要りませんので,
初段を五極から三結に変更しようと思います.
      6AN8A(P部3結)-6AN8A(T部)-6BX7pp-5Y3 
多分,これでもかなり高感度ですが,音質的にはこの方が好ましくなるような気がします.





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