真空管雑感

3A/109A(B)


3A/1xxA あるいは 3A/1xxB と称する球は,英国において作られ,通信用として
電話・放送・軍用などの業務専用に使われたものです.

この一族の中で,特に有名な球は 3A/141A と 3A/144A で,共にそれぞれ WE101D,WE104D の互換球です.
メーカーこそ Western Electric と STC の差がありますが,規格は全く同じです.
ただ,出てくる音はかなり差があるそうです.

WE101D,WE104D の音は聞いたことがありますが,かなり良い印象を持ちました.
また,STC のいずれの球とも聞いたことはありますが,1〜2 回で聞き比べたことはありません.
ただ,やはり強い音の WE とは違って,そこはかとなく気品のある音でした.
STC なかなか良いなと思っていました・・・・が,
ところが,今では,本家 WE より STC の方が高価になり,且つ入手難です.
当研究所でも,入手を試みたときがありますが,あまりの値段に手が出ませんでした.

球を見せて貰って観察をすると,作りも確かによく似ています.
綺麗な,ニッケルプレートで,いかにも良い音がしそうな雰囲気です.
しかし, 3A/141A と 3A/144A を在庫している Shop はほとんどありません.
日本国内にも,海外にもです. e-Bay でも,ほとんど見かけません.

で!,無い物ねだりしても始まりませんので,入手できる球に触手を伸ばします.

STC の通信管で,3A/1xx の球の中には,WE と互換性はありませんが,
電話や軍の通信用などの用途に合わせて作られ,主として英国旧逓信省専用管として
使われた球がありますが,それが,ここに示しました兄弟管です.

























ヒーターは何れも欧州管の特徴である 4V の電圧で,電流もすべて 0.25A となっています.
管名は,3A/107,3A/109,3A/110 で,Eb max は 190V でμ のみが異なります.
それぞれ,A と B があり,ソケットが異なります.
A はミニUV で,WE101 や WE104 と同じです.
B は UF4 あるいは B4 と呼ばれるソケットで,PX4,PX25,RE604 などと同じです.

写真はすべて,Type A です.

この中で,出力管として登録されているのは 3A/109 だけで,他の 2 種は汎用管です.

3A/107:μ= 7,内部抵抗=5.5kΩ,Ip max=10mA程度
3A/109:μ= 6,内部抵抗=2  kΩ,Ip max=25mA程度
3A/110:μ=12,内部抵抗=5.5kΩ,Ip max=10mA程度

巷でささやかれている噂では,
3A/109(UF4) --> WE104 相当(ミニUV) --> UX71A(UX) 相当
3A/110(UF4) --> WE101 相当(ミニUV) --> UX12A(UX) 相当です.
μやプレート電流などからは,なるほどと,うなずけます.
出力も WE と STC & RCA を比べると,ほぼ同じで大きな差はありません.

3A/107 だけは WE に類似管はありません.低ミューで高内部抵抗,と言っても,
高々,5.5kΩ ですから,一般的には,決して高いわけではありません.
電圧増幅管としては,かなり魅力的な球です.

肝心の音は,実はあまり聞いていません.
それぞれ,ほんの少しの時間だけ聞きましたが,何分にも,予備のない 2 本だけですので,
いい音だなぁ,で,すぐに仕舞ってしまいました.

3A/109 だけは,Type B も持っていますので,早く専用Ampを作ってやらなければと思っています.

ん,それよりも,LS8A(Marconi or GEC) は 3A/109B 同等管で,値段も遙かに安い!
どちらも,差し替えが出来ますので,LS8A が今ではお勧めでしょうか.
 3A/109B = LS8A で,3A/110B ≒ LS7A とのことです.差し替えて音を聞いてみたいものです.





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