これぞ古典3極出力管である!
本来は送信管ですが,浅野勇氏によれば,もっとも初期の電蓄に用いられた,
出力管のようです.
白熱電球のように煌々と光るフィラメントでも有名です.
極めて直線性の良い,まさに理想的とも言える出力管ですが,欠点も多々あります.
最大の難点は7.5v1.25Aというそのヒータです.
球の安全を考えれば,交流点火を行いたいが,7.5vでは盛大なハムに悩まされる
ことは必定です.
また,内部抵抗の大きい送信管のため,B電圧には425vを掛けても電流は20mA
程度しか流れず,出力も1.6Wしか取れません.
固定バイアスとしてA2級で動作させれば,3W取り出せますが,この種古典管には
可哀想な気もします.
さらに,この高い内部抵抗のため負荷抵抗は10kΩです.
ただ,武末数馬氏のおかげで旧タンゴ,現在のISOから,理想的な14kΩのOPTが
販売されていますので,最も困難な問題からは解放されています..
浅野勇氏の用いたUTCのユニバーサルトランスS14では,「昔のラヂオ」の音となり,
せっかくの球の直線性の良さが発揮されません.
昔のアンプ(電蓄)の復刻版としての価値はありますが,少々,
いや,相当にもったいないと思います.
球はかなり長期間送信管として現役であったために,相当数が流通していましたので,
比較的入手は楽でしたが,中国・ロシヤ・東欧での再生産がないため,最近は入手難
になると共に,価格もかなり上昇してきました.
しかし,これぞ真空管アンプと言わんばかりの球ですから,この球を用いたアンプは手元に
1台くらいは置いておきたくなります.
出力管と整流管を並べてみると,解りますが,組み合わせる整流管は,
5R4G以外には考えられません.
電圧増幅段は,26や201がお似合いですが,直熱管のために二の足を踏みます.
27-27ー10(Y)も良さそうですが,いっそ,12AU7-12BH7-10 も良さそうです.
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