アンプの動作条件で,Single と Push-pull の何れが良いかという論争が,
過去にもあり,現在においても結構議論されています.
周知のことではありますが,それぞれの特徴を挙げると,
Push-Pull
大出力:Single の 2〜3 倍
低歪率:偶数次の歪みはキャンセルされる
広帯域:同一コアのトランスならば直流磁化の影響は極めて少ない,
言い換えれば,安価な小型トランスでも広帯域
欠点は,回路が複雑,ペアチューブが必要です.
Single
小出力:通常は 3W 未満
歪み率:0.5% 以下とするには各種測定器と技術が必要
狭帯域:直流磁化のため,広帯域とするためには巨大なコアが必要
特に低域は弱体
長所は,回路が簡明,出力管は1本で済みます.
技術的な観点から見てみますと,Push-Pull の優位は疑いようがないようです.
にもかかわらず,結構 Single 方式の愛好者がおられます.
曰く,
音がすっきりする
音の表現力がよい
なんとなく観念的で,説得力に欠けているようにも受け取られます.
ところで,
当研究所での採用実績は,というと,圧倒的に Single 方式です.
最大の理由は,出力管の保有数です.
特に,良い出力管は,高価で入手難です.
とてもじゃないが,ペア・チューブを2セット入手できません.
ましてや予備球において哉.
それに,当研究所試聴室では1wも出力が有れば十分です.
10w なんて使い道がありません.
歪みも5%以内ならば気が付きません.
出力管が三極管の場合,大部分は比較的音質に害の少ない偶数次歪みですし.
・・無理矢理,無視しているのかも.
回路が単純=製作が容易,おっちょこちょいの所長には,これは重要です.
当然ですが,誤配線も少なくなります.
位相反転段が無く,トランスでの波形合成もありませんので,
ダイナミック動作でも変な歪みが発生せず,明快な動作です.
これらすべてが,アンプの安心感につながります.
従って,Single 方式が主流にならざるを得ません.
と言っては見たものの,「負け犬の遠吠え」の感がなきにしもあらず
です.
資金さえ,潤沢に有れば,PX4,PX25,DA30,RE604,Ed,WE-300B などを,
各8本入手し,Push-Pull で豪快に・・・・
ハハハ・・・夢ですね.
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