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整流管 



交流電源用の真空管アンプに供給される直流の供給方法には様々な方法があります.
A電源は家庭用電源が交流化されると共に,当初から,フィラメントの交流対策を行いましたので,
特に直流の必要はなく,(6.3v以下ですが),B電源のみに直流を供給すれば良かったので,
整流管のなかった真空管開発当初は,整流には二極管接続をした三極管が使われたようです.

現在の直熱三極管の価格暴騰状況から考えると,これを整流に使うなどと言う,
暴挙は考えられないし,一般人にはとてもじゃないが,経済的に許されません.

通常,と言っても今日ではなかなかそうは言えませんが,専用の整流管を使うことになります.
それ以外では,セレンに始まり,現在よく使われるシリコン・ダイオードも多用されています.
メーカー製の真空管アンプでは,メンテナンスの問題もあり,整流管を使うことはまれになりました.
しかし,我らアマチュアが自作する場合は,アンプの容姿の問題もあり,
整流管を使う場合が結構あります.

我が研究所製作のアンプはすべてのB電源の整流が整流管です.
  ただ,UV211だけは,トランスの関係で,シリコン・ダイオードになりそうです.
整流管を使うことにより,それを変えれば,出てくる音にも変化があり,
そのときの気分と状況にあった音にすることができ,大変便利です.

心なしか,自作者の欲目か,整流管の方が好みの音になるように思います.

我が研究所にある,昔のプリアンプ,Tecnics 30A は,シリコンダイオードで
整流した後,なぜか 6X4 を経由して B 電源を供給しています.
オーディオショップで何度も試聴をした時に,最も音が良い!と思ったのが,
このプリで,Lux の CL35 と比較をしてもかなり差がありました.
最も,当時は整流管が使われていることなど知りませんでしたが.

ところで,この整流管ですが,
某管球メーカの技術者の方によると,整流管が最も造りにくいそうです.
その原因は,各種の真空管の中で最も過酷な使用条件であるためとのことでした.
実際,我々が自作したアンプに使っている管種の中で,
最も早く消耗することは,周知の事実です.

出力管の耐用時間の約半分くらいかなと見当をつけていましたが,
最近になり,入手した情報に依りますと,なんと,寿命は出力管の1/3
とのことでした.

ワォーー!そんなに整流管を持っていないよォ.ほんまかいな??

どうやら高価で入手の難しい出力管は,最近では,かなり余裕を持った設計がされるけれど,
整流管はかなり余裕を持たせたつもりでも,まだかなり無理をさせた用法の場合が多いようです.
そう言えば所長も,整流管の場合,定格の8割くらいの出力電流設計が多いように思います.
通常の入力コンデンサーは定格上限で使いますし,
国産の優秀な電源トランスでは,非常に低い巻線抵抗のため,許容値以下の場合がほとんどです.

大変慌てましたが,よく考えてみると,手持ちの球の数を考えると,
我が寿命はもっともっと短そうですから,生きてる内は大丈夫かな,と一安心しました.

確かに,これまでに消耗して使用不能になった出力管は,
6AC5-GT のみで,後の球はすべて実働中です.
一方,整流管は,6X4, 6CA4, 5Y3−GT,80, 5U4-G,5Z3 など,
かなりの球がオシャカになっています.

それに,昔は整流管に関する情報がなかった,いや,知らなかった?,
だけかも知れませんが,ほとんど定格いっぱいに使っていましたので,
さらに短寿命にしていたように思います.

NEC の 5Y3-GT に至っては,チョークコイルを省いて安く仕上げようと,
350v-AC を掛けたためもあり,
管内放電で,ある日突然,それも僅か2年の使用で,ご臨終と相成ってしまいました.
   多分,使用は 1000 時間を超えたかどうかの時期と思います,
この時は,保護抵抗も入れず高性能(低抵抗)な国産電源トランスを使い,
入口のコンデンサーは 40μF という,無謀な使用法ではありました.
        げに恐ろしきは無知!・・・・
「後日談」
    一度管内放電した球は,何をしてもこの放電は止まりません!
    一気にガスが出てきたのでしょうか,ただし,ゲッターには見た目変化ありません.
皆様も整流管は必ず定格を守って使いましょう.

ところで,これまでに球を収集するに当たって,出力管と共にそれに見あった整流管も
探すようにしてきました.
米管には米の整流管を,欧州管には欧州の整流管を,です.

米管の場合は供給量も多く,ソケットも統一(UX, US, MT-7,9)されていますので,
入手は比較的楽ですし,値段もさほど高くはありません.
    ただし,「こだわり」を持たなければ・・です.

ところが,欧州管は,B4/B5 あるいは UF と称する英国系タイプや,
サイドコンタクトタイプである P8 の様な特殊??管や,はたまた,
EL156 などに用いられた G8A などというものまで独系にはあり,さらに,
旧独郵政省専用のポスト 7P,5P と言った極めて特殊なものまで有ります.
オクタル US かなと思っても,MAZDA オクタルで,互換性がありません.
たかが整流管などと呑気にしていては,とても集めきれないほどの種類があります.

しかし,やっぱり出力管に見あった整流管が欲しい!と思ってしまいます.
大きさまで考えると,とんでもない労力が必要になりますが,
見つけて出力管と並べると,満足!!と言うことになります.

馬鹿みたいですが,なんと言っても趣味です!
後は,整流管の価格が暴騰しないことを祈るのみです.








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