パワーアンプの電源インピーダンスは,小さければ小さい方がよい.そう言われていました.
昔,さるマニアは,自宅床下に鉛蓄電池を多数設置し,それによりB電源を
供給するという,信じられないようなことを実行した人がいました.無論,A電源も,C電源も
蓄電池です.
出力管は,2A3 だったそうですが,定格3.5W以上の出力が得られ,音も2A3独特の柔らかい
(一説にはぼけた)音ではなく,すっきりとした音であったと聞いています.
音はすばらしい,しかし球はあっという間に消耗してしまうと言うことでした.
我々,1970〜80年代からのマニアは,この記事から,
電源インピーダンスは低ければ低い方がよいと信じてきました.
勿論,理論的にも疑いようのないことです.
ところが,整流管によるアンプを造ってきて気づいたことがあります.
整流管を色々変えることにより,アンプの音色が少々変化するようです.
この原因はきっと整流管の内部抵抗によるものだろうと思います.
ここで,低内部抵抗の整流管の音が良ければ,電源インピーダンスは
低ければ低い方がよいことが再確認できるはずです.
2A3 シングルの整流管を変えてみました.
5AR4,5U4G,5V4G,5Z4,5R4G と内部抵抗の違いを確かめました.
最も気に入った音になったのは,5R4G,つまり,最も内部抵抗の大きい,
電源インピーダンスの高い場合でした.
一体,これはどうしたことだろう,と考え込んでしまいました.
歳と共に,回路解析を行うことが面倒になってきました.という理由にて,
今回は(・・も),現実だけを受け入れてしまおうと姑息なことを思います.
ここまでならば,あまり吹聴をせず,「ダンマリ」を決め込むのですが,
当研究所の顧問,F教授からおもしろいものが届きました.
USプラグを使った,F教授お得意のアダプターで,整流管代用半導体ダイオードです.
ただの代用半導体ダイオードではなく,抵抗による「内部抵抗」付きで,しかも,
SW により,5U4G と 5R4G 相当の抵抗値が切り替えられるようになっています.
これを使って聞いてみると,やはり, 5R4G 相当の抵抗値付きがよいようです.
蓄電池電源のレポートも納得いきますが,
どうも,球にはそれぞれ,ほどよい電源インピーダンスがあるのでは,
とのF教授の意見にも納得.
まるで正反対の現実に,?????.
やむを得ず,逃げの一手です.
2〜3ヶ月で,貴重な出力管をボケさせるわけにはいかない!ので,
ほどよい電源インピーダンスが良い.
ハハハハハ,根性なしです.
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