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直熱管と傍熱管 


真空管の分類の一つに直熱管と傍熱管があります.

直熱管:初期に開発された古典管
傍熱管:発達した高性能管

一般的な考えでは,発達した傍熱管の方が良いはずですが,
どうも,オーディオの世界は異端で,直熱管の人気が高いようです.

曰く,
音楽の表現力が違う,レスポンスがよい,音に優しさがある,より人間的な音がする,

などなど,直熱管は名出力管としてオーディオの本道を闊歩しています.

WE300B,UX-50,UX-45,DA30,PX25,PX4,Ed,Da などは誰もが名出力管として認めるところでしょう.
現在,当研究所でも PX4(E406N,U4H),2A3,12A を使っていますが,
自作者の欲目を多々含んでのことですが,満足のいく良い音と思っています.
         誰も褒めてくれませんので,仕方なく自画自賛

では,いったい何がそれほど直熱管に魅力を感じさせるのでしょうか.
換言すれば,傍熱管では満足できないのでしょうか.

さてさて,まずは容姿から.
音とは全く?関係ありませんが(電極容量等はどうなの・・?との声が・・),
直熱管と傍熱管では球の容姿が基本的に異なります.
直熱管の時代は,球形管・ナス管・ST管 がほとんどです.
       そして,この容姿は確かに魅力的です.
傍熱管の代表は,GT管,ミニチュア管です.
 
美人の基準も,人・時代と共に変遷を繰り返してきましたように,
球の好みも千差万別,人それぞれで結構かと思いますが,
多くの方がこれら直熱管時代の容姿を好まれるようです.
容姿端麗の球から出る音は,「それなりの」球から出る音より「贔屓目」になることは,
いわば自然の摂理(ちょっと大げさかな)でしょう.
従ってこの容姿も,直熱管の魅力の一つであることは疑いようのないところです.

恰好に惑わされているだけで,実際の音はどうなんじゃ,との疑問が出ますが,
やはり,音を聞いていると,所長は直熱管に魅力を感じます.
その理由(の一つ)として,所長の浅学では,球の直線性ではないかと思います.
WE によって NFB が開発されるまでは,直線性の良い球が音も良いと考えられていました.
つまり,球形管・ナス管などの直熱管の時代と言うことになります.
ST管の時代にも,Pro用の機器を除けば,NFB の無い場合が多く,当然その名残りがあります.

一方,
多量の NFB を前提に開発された高効率傍熱管では,高効率を生かして,一般受けの良い高出力が重視され,
直線性は,データ表のみ見かけ上良くなれば,誰も気がつくめェ,とNFBで厚化粧されていました.
NFB の項でも述べましたが,どれだけブスに厚化粧をしても,ブスはブスです.
   言葉が悪くて済みません m(_ _)m  他意はありません.ホントに.

では,直線性の良い傍熱管ではどうダァ! と言うことになります.

実際に,直線性の良い傍熱管などという,そんな球がこの世にあるのかいな?

所長も,ここ数年前まで,米球しか手元になく,傍熱管=直線性悪いと信じてきました.
しかし,直線性の良い欧州系傍熱管を入手し,アンプにセットしてみると,
所長の老化した怪しげな耳でも,非常に心地よい音を出してくれます.

出来の悪い所長の耳では,何とも心許ないので,顧問の F教授にもお願いして,EL3N(T) を聴いて頂きました.
結構イイじゃない,との結果に,意を強くしました.

傍熱管=直線性悪い は成り立たない場合もあると言うことです.

逆に,
直熱管であるというだけで,良い音がする,と勘違いをする輩もいますが,
ダメな球は直熱管でもダメでしょう.
  最近まで送信管の中には高効率直熱管が製造されていました.

直熱管,特に古典直熱三極管が良いことは認めます.
しかし,直線性の良い傍熱管もまた,相当なものです.

何も無理して高価で入手難の古典直熱三極管に固執する必要はありません.
それに匹敵する傍熱管もあります.
無論,すべての球が,とは言えません.駄球の方が割合的には遥かに多いと思います.
さらに,同じ様な名前の管種でも,まるで構造の異なる球もあります.

特性曲線と容姿を眺めつつ,慎重に選びましょう!

などと言いつつ,所長は古典直熱三極管の良い出物があると,
性懲りもなく飛びついて,いったい何時アンプを造るのだ!と叱られていますが・・・.











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