自作アンプを造るにあたり,どのようなシャーシを使うかは大きな問題です.
部品の配置を含めて,シャーシの出来如何によってアンプ自体の品格が決まります.
1970〜80年代には,種々の市販シャーシがあり,数百円の通称,弁当箱から
数千円のカバー付きまで選り取り見取りでした.
無論,当時からお金持ち御用達の特注シャーシもありましたが,
我ら,貧乏人は,手に豆を作りながら,市販シャーシに穴あけを行ったものです.
ところが,最近は市販シャーシの種類が少なく,選択の幅がほとんどありません.
挙げ句の果ては,半導体用のシャーシ,本来,すべてのパーツを内部に納めるべき
形状のものを流用するものまで現れてきました.しかも,これが雑誌の執筆者ですから・・・・.
いかにも不格好でみっともないと思うのは,私だけでしょうか.
一方,アマチュアのホームページを見ると,実にすばらしい作品があります.
弁当箱に装飾用の木枠を付けたものや,果ては木製シャーシまで有ります.
創意工夫が施され,見るだけでも価値があり,楽しいものです.
では,当研究所のシャーシはというと,頑固一徹,昔ながらのアルミ弁当箱です.
信念を持って,というと格好が良さそうですが,本音は費用にも関連があります.
木工技術に不安があり,木枠も付けません.不格好なものしか作れないなら
ない方がましと割り切っています.
シャーシ深さはすべて 40mm です.
初期の頃は70mmの深さを使っていましたが,どうも私の目では「野暮ったく」見えます.
シャーシの大きさばかりが目立ち,肝心の球とトランスがマスクされてしまいます.
その代わり,40mm ではシャーシ内の配線・部品の取り付けには苦労をします.
唯一,塗装だけは長年の経験からほどほどに出来そうです.
塗料は,カーショップで車の補修用を購入しています.
車メーカだけでなく,車種ごとに色が微妙に異なるため,色の種類が多く,
メタリックなどの好みの色に仕上げることが出来ます.
カーショップにはアルミ用の下地塗料もあり,これを使うと
塗料の密着性も良く,塗料の剥がれも生じません.
シャーシで気になるところは部品配置です.
何をどこに置くかは,実際にシャーシに部品を乗せてみて決定します.
人それぞれ好みの配置があり,十人十色です.
あーでもない,こーでもないと,やっている時が楽しみでしょう.
以前は,シャーシの深さと共に,ゆったりとした部品配置をしていました.
しかし,実際に使いながら長年見ていると,これも個人の好みでしょうが,
隙間の多いアンプは間が抜けているように感じます.
無駄のない設計がやはりもっとも美しい!
多くの方のホームページを見ていると,まことに見事な配置,
良くここまで合理的にできるものだなあと感心する作品があります.
ミニアンプ系のアンプ,6AU6 シングルなどは,電源別ならばともかく,
完結したアンプとしては,もう芸術品の域に達していると思います.
機械設計技術者としては,大いに見習わねばなりません.
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