言いたい放題

骨董品



50年近く真空管アンプ,たまにはスピーカシステムを作ってきました.
これまでに造ったアンプは,真空管のみならず半導体アンプも数多くありましたが,
手元に残っているのは古めかしい真空管アンプのみです.
と言っても,CD Player は別ですけど,少なくとも主要機器はすべて真空管になってしまいました.

その理由は,自分にとって最も心地よい音を出してくれたからに他なりません.
いまや,私にとって,オーディオ装置は高忠実度再生装置ではなく,
音楽を奏でてくれる楽器といっても良いかもしれません.

これまでは,科学技術研究者として,特に工業技術を担ってきたと思ってきましたが,
こと音楽に関しては,オーディオ装置を楽器と置き換えた時点で,
技術者失格,全くの落ちこぼれです.
唯一の慰めは専攻が電気工学ではなく,機械工学であったくらいでしょうか.

それにしても,もはや使い切れないくらいの真空管と部品を入手し,
眺めていて気づいたことがありました.

計画では,ユニーバーサル型を含めて,これから28台のアンプを作る予定にしています.
計画に漏れている,真空管は?,はてどうしよう・・・.
     それはさておき,とにかくかなりの数の球と部品が手元にあります.

家族からは薄汚く邪魔なガラクタをなんとかしてよ,と日頃から言われています.
押し入れどころか,廊下にまで積み上げられた部品,
でもねぇ,そこにはタムラの特注品もたくさんあるのよ,
どれほど小遣いを削って購入したことか,でも家族にはただのゴミです.

これらの球とトランスは,いずれも貴重で,もはや簡単には入手できないと思います.
眺めていると,長年の苦労と入手時の喜びが浮かんで,とても手放すなんて出来ません.
これって,ひょっとしたら骨董趣味かな,とふと思いました.

改めて,手持ちの球のリストを見てみますと,
大部分は間違いなく骨董的な球,製造から少なくとも50年以上経っています.

新しい球は,と調べてみますと,ロシヤ,東欧製,
2A3,6B4G,6L6GCと整流管BO-188,5AR4,5V4G,
これらは 電極もしっかり調べて,「新しい」Philips や Mullard と同じと確認しましたが,
確認をしてみても何ら変わりはありません,新しい球は新しい球です.
それと,中国製の KT66,これはとてもGEC製は買えません,価格的にです.

後はおそらくすべて60年以上前の製品です.
特別骨董品にこだわるつもりはなかったのですが,
結果はどうやらまるで骨董品集めになってしまっていました.

新旧の2A3,RCA製とSovtek 製を聞き比べてみると,
私には,むしろ Sov 2A3 の方が,繊細で淑やかで,良いように聞こえます.
RCA は柔らかいのですが,どことなく惚けているように聞こえるときがあります.

最も,6L6 や KT66 はやっぱりオリジナルとはまったく違います.
善し悪しは個人的な判断ですので,造って聞いて,それぞれの方が判断すべきでしょう.
もちろん,プラシーボ効果は十分あると思いますので,
好みの善し悪しは,全くの個人的な聴感の依れば良いことです.
他人が好みに口を差し挟むべきではないでしょう.

我が身に還ってみますと,特別,骨董趣味に走るつもりはなかったつもりですが,
やはり形状と音?から結果はそうならざるを得なかったように思います.
古い球が紹介され,特性を見て,形状とその球の由来を確認すると,
  欲しいが先行して,苦労して手に入れてきました.
きっと皆さんも同じような方が見えるんじゃないでしょうか.

良いものは良い,古い・新しいは個人的な音に関しては無関係かもしれません.

古ければ古いほど良いのは骨董品とワインのみ,
新しければ良いのは女房と畳,これは先人の受け売りですが,
なんて洒落ている場合ではありません.

でも,まっ,いいか,誰かに迷惑を掛けたわけではないし.
個人が楽しければ良しとしましょう.

「陰の声」ゴミを持ち込まれて, おぉ迷惑!

解っています,ごめんなさい.





リスニングルームへ



言いたい放題へ

ホームへ