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オーディオアンプって楽器?


これまで40年近く,アンプを製作してきましたが,ずーーーっと
心の片隅に何か引っかかっていることがありました.

自作管球アンプ界では知らない人はまずいないと思われる大御所で,
よく東の浅野勇氏と対比される,西の武末数馬氏が残された言葉です.

アンプは製作後,まず特性の測定をし,調整を行わなければならない.
物理特性の納得が出来た後に,SP を繋ぎ,音出しを行うべきである.
さもなければ,アンプは楽器と化し,アンプ本来の役目を果たさなくなる.

まさに技術者の面目躍如!ご意見ごもっとも!
反論できる材料は何もありません,ハイ.

アンプは原音を変換した電気信号を,忠実に電気的に増幅をすればよい,
従って,歪みは低ければ低い方がよい,出力周波数帯域は広ければ広い方がよい.

技術的にはその通りです.アンプ技術者としては文句の付けようがありません.

これまで疑うことなく,所長もまずは測定を行ってきました.
やっつけ仕事のいい加減な部品配置のため,何が起こるか解らず,
測定せざるを得ない・・・が実際ですけど.

アンプだけを取り上げると,単なる増幅器ですから,武末氏の言われるとおりです.
しかし,このアンプが単体で使われることはありません.
当然のことながら,レコード・CD − アンプ − SP で,音楽を聴いています.

問題は,入り口,原音を変換した電気信号
出口,電気信号を空気振動へ変換です.

入り口では,マイクにより変換していますが,その歪み(忠実度)は相当なものです.
更に,レコード・CD 製作時には,ディレクターにより音はいじくり回されています.
とてもじゃないが,演奏=レコード・CD なんて言えません.

出口はもっと悲惨です.
SP の歪みは数% なんてものではありません.
10%,いえもっと大きく,20〜30% なんてものも.
  しかし,これはこれで結構いい音に聞こえる場合もあります.

やはり演奏会しかないのかって,・・イエイエ,

大して巧くもない(すみません)楽団・演奏者で,時折ミスをしながらで,
しかも,1回こっきりの演奏会に1万円以上を支出する気になりません.
   社交会場としては行く価値は十分にあると思いますし.
   1000〜2000円で休憩時にワイン・ビールの出る欧米での演奏会は別ですけどネ.

さて,本題ですが,
レコード・CD を聴いて,それほど不満があるでしょうか.
無論,満足!!と言う方はあまりいないでしょうが,
それなりに気分良く聴いて居られると思います.

それならば,開き直って,
たかだか 1〜2% の歪みしかないアンプに対して,目くじらを立てるより,
アンプ=楽器,と考えても良いのではないでしょうか.
ここで,技術者とは言えなくなりますが,何たって,オーディオマニヤですから.

球を換えて音色を変えることにより,お気に入りの楽団・演奏者の楽しみ方も増えます.
邪道ですが,音楽監督になったつもりで,音色を換えて楽しめます.

老婆心ながら,造ったアンプの測定は,一応,一通りすることをお勧めします.
貴重な球を壊さないためにも, 音が悪いという有らぬ疑いを球に帰せないためにも.

      所長は自分の技術の無さを棚に上げ,音が悪いと「これは駄球だ!」
   で逃げる場合が多々あります.反省





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