Sachsenwerk Field Coil Speaker です.( 写真 )
今回もまたまたF教授宅へ押しかけての試聴です.
いつものごとく,食事もご馳走なっての迷惑を掛ける試聴です.
ところで,
Sachsenwerk の入手は私の方が早かったように記憶していますが,
何時までも音のでない有言不実行居士とは違い,
F教授宅には,なんと 2 sets の Sachsenwerk が鎮座していました.
しかも,左右に置かれてあって,俗に言うところの Stereo です.
山水の組格子のついた箱に入れ,裏板をはずした後面開放に入っていました.
Unit は組格子とサランネットのため見えませんが,外観は申し分ありません.
さて,試聴に使った Amp は AD1(Valvo太管) Single C3g三結ドライブです.
音源は,いつもの ベートーベンの P コンです
出てきた音は,アッと驚くHi-Fi音(古いなぁー)でした.
もっと古風な音を想像していましたので,本当なの?と思いました.
非常にバランスの良い,まとまった音で,Amp のためもあるでしょうが,
まことに切れの良い,透き通った音です.
早速 Main SP である Tannoy 15'指定箱入りと聴き比べてみました.
音は,いつも聞いている,ちょっと柔らかい Tannoy でバランスの良い音です.
低域は問題なく Tannoy で,Sachsenwerk は確かに出ていません.
しかし,聞いていると,出ていないのですが,全く低域不足とは思えません.
ちょっと足りないかなぁ,の程度です.
それよりも,中域と中高域の切れの良さが目立ちます.
ここで,持参の Rachmaninoff 自作自演の P コン(auf 様に教えていただきました)の登場です.
この演奏は,Tannoy GRF Memory で聴くと,何とも冴えない,
2 回と聴く気にならない音でした.
auf 様からはかなり聴かせると伺っていましたので,何かが問題だな,と思っていました.
これを,Sachsenwerk で聴くと,なるほどぉ,確かにすばらしい演奏だなぁ!
音楽に必要な音だけがまるでフィルターを経て出てくるみたいです.
Mono なのに,音の広がりまでも錯覚させるような感じでした.
この時代の名演奏を聴くには,この時代の名SPが必要であることを思い知らされました.
もちろん,現代の演奏も問題なく再生しますので,むしろ,この手のSPだけで良いのかなぁ.
せっかくですので,励磁電力を変えてみました.
何たって,戦前に作られた貴重なベーク製蝶ダンパの励磁SPですから,
焼き切らないためにも,どこまで励磁電力を落とせるか興味がありました.
電力を落とした結果からは,電圧で定格 80% ,電力では 65% 以上であれば,
音質の変化は微少であることが解りました.
励磁電力を落とすと,かすかに音質は変化しますが,
SP のもって生まれた基本的な音質はほとんど変わりません.
ブラインドテストをすれば,聞き分けられる人はほとんど無いと思います.
Sachsenwerk が活躍した当時は,100Hz〜5kHz が最も広帯域でしたので,
大編成のオーケストラでは,低域が不足するのはやむを得ません.
かといって,これらのSPの音質に見合うウーハは多分無いでしょうねぇ.
よけいな低域や高域を加えることは,どう考えても得策ではなさそうです.
通常の現代版ソースを再生して音楽を聴くためには特に付加すべきものはありません.
これが,今回試聴を行った,F 教授との結論でした.
1本ですが,手元の Sachsenwerk を見ながら,カザルストリオや
フルトベングラー,はたまた,トスカニーニを集めようかなぁ.
何たって,フルトベングラーの演奏は好きなんですねぇ.
しかも著作権が切れていますので,とんでもなく安いし.
これまでは,何とも情けない再生音に聴く気がしませんでしたが,
今回の試聴会で,Field Coil Speaker の実力を知ってしまいました.
(追)
e-bay に出ている Telefunken が気に掛かってしまい,いやはやです.
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