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Amp の寿命

球 (電圧増幅管)の寿命




出力管の寿命が比較的長いことが解りました。
特に古典直熱管は,かなり余裕を持った規格になっているようです.

では,電圧増幅管の寿命はどのくらいあるのでしょうか.
通常電圧増幅管は出力管と比較して価格が安いので,寿命について気にかけている方は
少ないかもしれません.
そうは言っても,将来的には枯渇することは目に見えてますから,
やはり,寿命は気にかかります.

ところで,これまでに使ってきた電圧増幅管には何があったかなと思い出すと,
MT管(12A*7系,X7,U7,T7と6267) が最も多かったようです.
他種の MT 管では,電算機用の 5814, 6201, 5687, 5670 なども使用しました.

多い理由は,Pre-Amp と称する,レコード用 Equaliser,Line-Amp に多用してきたためです.

これらに使うためには,1mV --> 数Vへ増幅しなければなりませんので,
とにかく Low-Noise である必要があります.
使いやすさを合わせて考えると,どうしても MT 管になってしまいます.

その寿命はと言うと,入力電圧が 1mV オーダー(EQ Amp)では 4〜5 年が限度でした.
増幅度が落ちる前に Noise で使えなくなってしまう場合が多かったように思います.
数Vオーダーでの使用なら,さらに数年は使えました.
EQ で使ってから Line へその球を回すと言った使い方です.

いずれにしても,10年以上使えた球はほとんどありませんでした.
  (一般的な真空管の寿命は3000時間と言われています)
また,カソフォロで使った球(Pre & Main 共)はかなり早くぼけました.
やはり,小さい球ですのでMT管に電流を流して使うのは過酷すぎるかもしれません.

もし,ノイズに悩まされずに長期間使いたければ,電流は控えめ,
ほどほどに高い負荷抵抗値とすべきでしょう.

しかし,レコードを処分してからは,EQ-Amp が不要になったので,MT 管の使用が減りました.

次に多かったのは GT 管です.
と言っても,使ったのは 6SN7,6SL7,6J5, 6SJ7(T)と 6SR7 の 
5 種類にほとんど限定されてしまいます.

Pre-Amp で使ったのは,5691(6SL7)-5692(6SN7) のみで,
それも,Line-Amp(100mV程度) に使いましたが,数年で解体してしまいましたので,
球の寿命は正確には分かりません.
しかし,この2種の球は,通信管ですので,1万時間の耐用年数があるはずです.
従って,これらは,きっとかなり保つのではないかと思います.
  (その後,5691 はPX4sで6年使用中で問題はありません)

Main の前段に使っていた一般受信 GT 管でも,まだぼけた球はありません.
多分ですが,数V オーダーで使う限りは,普通の出力管と同じくらいは保ちそうです.

MT 管,GT 管ともに,価格的には安い部類に入ると思いますので,
寿命が少々短くても経済的には何とかなります.
供給量も安定していますし,購入も比較的に楽ですから,良しとしましょう.
ただし,東欧,ロシヤ あるいは中国製ですけど.

ST 管はどうでしょうか.
これまでに使ったのは,27, 37, 56, 76, CZ501V とEF6, EBC3 位です.
CZ501V(D) は通信管ですので,多分私の寿命の尽きるまで保つと思います.
Bi や A102 も Siemens の通信管ですから寿命議論の対象外です.

米球の 27, 37, 56, 76 は使用期間が10年程度ですが問題なく使っています.
比較的入手の難しいこれらの球が長寿命なのはありがたいことです.

ロクタル管は,・・・,実は C3g しか持っていません.
つまり,C3x 系列の寿命は気にする必要はなさそうです.
何たって,Siemens の誇る通信管ですから.
これを Power 管として使えば,多少寿命が短くなるでしょうが,
それでも,私の寿命の方がきっと短いと思います.

最も寿命が気になるのは,高価な直熱電圧増幅管です.
201, 26, 12A, 30 や  Aa, Ba ですが,後者は通信管ですから,
寿命議論の対象外,残るは米球です.
米球で使用経験があるのは 12A(国産) ですが,定格の150% 動作,
つまり,完全な定格オーバーですが,それでも 20 年間問題なく働いています.
この時代の球の定格は,相当に低く設定されているようで,
普通に使えば,通信管並の寿命になるかもしれません.

結論的には,MT 管以外は,かなり保ちそうです.

MT 管は 40 年前から,販売会社名は色々(RCA,Telefunnken,Mullardなど)ありますが,
実際の製造は,ごく初期の英国,ドイツ,いずれも,ほとんど残っていないと思いますが,
日本・カナダ・東欧・ロシヤの国以外にはないと思います.
箱と管壁への印刷名は別です.
それらは販売会社名であり製造メーカーではありません.

GT 管も初期の米国・カナダ製品(1950年代の一部)を除けば実際の製造はMT管と同様です.

最近は中国製が追加されました.
私は現在所有していませんが,安くて量も豊富ですので,将来的には多くなるかもしれません.

日本製・米国製を除けば,いずれもドングリの背比べですから,寿命的には諦め,
ダメならば未練を持たずに早めに取り替えるのが良さそうです.






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