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Amp の寿命

球 (出力管)の寿命




真空管アンプ自作者にとってもっとも気になるのは,球 の寿命です。

特に直熱三極管や古典欧州管を使っている人は,球が高価で入手難ですから,
気にならない人はいないでしょう.かく言う所長も,とても気になっています。

はて、さて、出力管の寿命はどのくらいあるのでしょうか.
真空管にはメーカーから示された寿命:基準 GM 値以上がありますが,
実際に働かせた場合にどのくらい保つのかは解りません.
無論,動作条件によっても大きく異なるに違いありません.
さらに,GM値を測れるチューブチェッカーを持っている方もそれほどみえないでしょう。

昔,電気の先生から,標準的なメーカー推奨動作で,4〜5000 時間が目安と聞きました.
1日,4〜5 時間聴くと,1000 日,約 3〜4 年です.
民生用の真空管を Pro (放送局や通信会社)が使う場合は,1000 時間が
標準(定期交換時期)とも言われています.

エッ!!,我が PX4 初代は,ほぼ毎日聴いて,5 年,さらに改造後,3 年!!
Eb 300v A 級 4.5W の標準動作に対して,Eb 290v 4W で動作させていました.
改造後は,安全を考え,Eb 250v 出力 3W にしましたけど・・・.
現在でも、プレート電流は初期と変わりなく,劣化は全く感じません.

12A は,どれだけ使ったきたか解らない(見た目は Junk )球ですが,
さらに,その後,Eb 210v 出力 0.5W (最大定格 180v,0.27W )で,4 年使っていましたが,
現在まで全く問題ありません.
12A は,その昔、幾らでも,安く(\100/本)入手できましたので、
Eb 250v,Ip 11.5mA での製作例が,アマチュア標準として雑誌に出ていました。
さらに、Eb 250v Ip 20mA、出力 1W なんてものも、雑誌に発表されていました。
それでも、4〜5 年でボケたなんてことは聞いたことがありません。
     もっとも,12A は特に余裕のある設計かも知れません。

6CA7(T)s (息子自作)は,Eb 250v 3.5W で,9 年間働いています.
前段に使ってた 12AT7 (中古) はさすがにノイズが出て交換したようです。

唯一,短寿命??であったのは,6AC5s で,出力管は 7 年で惚けました.(ほぼ連日使用)

どうやら,一般的な出力管は,標準動作をさせている限り,10 年は持ちそうです.

しかし,所長も少なくとも,後 10 年は生きられそう?ですし,何とかもっと長く使えないモノでしょうか.
とにかく,もう新しく購入するなんてことは出来そうにありませんからネ.

そこで,出力管を長期にわたり使うために有効な対処法が何かは,非常に興味があります.
これまでに耳にした噂は,

1. Eb は控えめに.プレート損失は定格の 8 割以内.
2. 同じプレート損失では,Ip を減らす方が Eb を下げるより寿命の面では安全.
3. 固定バイアスよりセルフバイアス.
4. 寄生発振をさせない.
5. ヒーター電力は定格を超えないように,5% 以上下回らないように.

1 と 2 は,感覚的にも納得できます.WE や Siemens などの Pro 用の球は,
プレートの大きさなどから類推されるプレート損失よりも,かなり低い定格設定がされています.
当然,ヒータ温度を下げ,Eb,Ip を低くすれば,長寿命になるでしょう.
我々が使う,一般球でも当然あてはまります.

同じ未使用球を,同じバイアスとなる固定とセルフで計測すると,極端に違う結果が得られる場合があります.
セルフでは,Ip が 4mA (規定値) 流れるのに,固定では,10mA も流れてしまう球があります.
無論,両者とも実用(セルフ)上は問題なく使えます.
一事が万事ではありませんが,やはり,セルフの方が良さそうです.

寄生振動は,音が多少濁る程度ですから,聴感ではあまり気づかない場合があります.
しかし,定格内で使っているのに,プレートがほのかに赤熱する?現象がありました.
球が悪いのかなぁ,と思っていましたが,借りたオシロでみると(当時所有していませんでした),
なんと!,見事に発振していました.そのまま使っていたら,あっという間に球を
オシャカにしてしまうところでした.ウゥ!恐ろしい.
例え,借りてでも一度はオシロで波形を見た方が安全です.

ヒーター電力は,高いよりは低い方がよいと言われていますが,5% 以上低くなると,
やはり寿命の点からよくないようです.
特に,昔からトリタンは規定電力値を守れが鉄則と言われてきました.
Over するのは論外として,5% 以上低くても著しく寿命を短くすると言われてきました.
何処まで下げられるかは,簡単に解ります.
ヒーター電圧を下げながらプレート電流をチェックすると,電流の急減少が発生しますので,
その手前の電圧が限界です.


こんな点に気をつけいれば,少なくとも 10 年(以上)は持ちそうです.

はて,最も重要な点を忘れていました.
トリタンのフィラメントがだんだんと暗くなり,最後に,ピカッと光って切れるのは,
寿命のためで仕方ありませんが,不注意で一瞬のうちにゴミにするのだけは,
なんとしても防ぎたいモノです.
これが,もっとも短命でもっとも腹立たしく情けないことですヨネ.





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