試作機

EL12N(T) Single Ampバラック組



EL12N は G8A 型ソケットに適合する独製の五極出力管です.
同じソケットの出力管には独グラモフォンの
カッティング機の駆動に使われたEL156 があります.

この球は外見も堂々としていて,まさに王者の風格があります.
プレート損失も大きく丈夫な球と言われています.
独グラモフォンのレコードの音質はこの球に負うところが有るとも言われていました.

問題は非常に高価な球で,貧乏な当研究所ごときでは手が出ません.
その EL156 の子供,おこがましくて弟とは言えませんが,との位置付けが,
ここで取り上げた EL12N です.
まぁ,ソケットが同じと言うことが最も大きい理由なんですけど.

この球は武末氏が取り上げ,なかなかの球で有るとの言葉を残しています.
すぐに影響をされやすい所長がこの球を入手する切っ掛けとなったのも事実です.
外観は EL156 をスマートにしたような形状です.
はっきり言えば,ちょっと貧相,だけどこれが分相応というものでしょう.



   EL12 は欧州管らしくプレートは円筒で,
   カソードから均等に・理想的に
   プレートへ電子が飛ぶ構造です.
   ところが EL12N のプレート形状は
   少々歪になっている点がちょっと気に入りません.
   当初は値段の安さと
   今後欧州管は入手難になると予想して,
   購入をしました.





入手した以上は,やはり音を出して聞いてみたいのが普通です.
いい音でるかなとの何処かに不安感の有る球,まずはバラック組で音を出すことにしました.

6AU6(T) - EL!2N(T) - 5Y#GT - OPT(T-4376)

OPT は20年以上前に購入したガラ巻で,
P:0-2.5-5-7kΩ,S:0-4-8-16Ωです.
各タップがトランス上面に露出していますので特にB電圧関係は危険です.
それと,ガラ巻は見映えが悪い,と言うことで 3mm のベーク板でケースを作り,
その中に収めていますので,一見はまぁそこそこに見えます.

ハンダ付けはバラック組みと言うことで,絡げ配線は行っていません.
点付けですので,変更や改造は簡単にできるようにしてあります.



 

出てくる音は,バッタ物のOPTを使った割には結構いい音!
出力は約 1W ですが,無帰還でもあり,力不足は感じさせません.
ただし,SP には95dB/W-m 以上の能率が必要です.





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