真空管雑感

CZ501D,CZ501V



通信用電圧増幅5極管です.
浅野勇氏によって「魅惑の真空管アンプ」
により紹介され,広く知られるようになりました.

曰く,日本製 WE310A,ただしヒータ電圧違い.
CZ501D は,3.5v 1A,CZ501V は,6.3v 0.55A です.

比較対照される5極管の 77(6C6) 6.3v 0.3A と比べると
約2倍と,格段に大きいヒータ電力です.

ちなみに WE310A のヒーターは,10v 0.32A です.



60v 以上の出力が望める強力なドライバーとして有名ですが,
最も顕著な特徴は,その耐用年数です.
HI-Fi用などの一般用途の球は4000時間程度ですが,
通信用途のこの球は10万時間に及ぶ寿命があると言われてます.

つまり,1本あれば,一生持ちます!(ステレオでは2本ですね)

低周波動作回路は WE310A と同じで問題ありません.

使用上の問題点は,CZ501D の場合のヒータです.元々CZ504D(5.5v,1A)と組み合わされ,
9v,1A (10v から1Ωの抵抗経由で可)で使われるように設定されているため,
3.5v ヒータがちょっと使いづらい面があります.

2本直列で使う用法が,浅野氏によって記事になったため,かなり採用されているようですが,
必要電圧が7v のため,6.3v では規格よりも「著しく」低くなりすぎます.
  規格内の許容値は,6.65v〜7.35v です.
まぁ,6C6 程度の馬力と,かなりの歪みを許容すれば,何とか使えなくもないでしょうが・・・・
何のためにわざわざ CZ501 を使ってるの?となってしまいます.

入手は,一般に市販されたことがありませんので,旧電電公社や NHK の放出品になります.

中古管も見受けられますが,程度が良ければ,相当長期間使えると思います.

値段は比較的安く入手できると思いますが,大部分の球は CZ501D で,
CZ501V はあまり見かけません.
メーカーは NEC とTEN が入手可能です.日立製もありますが,ほとんど見受けられません.
CZ501D の新品で\3000程度,中古管で\1000〜2000でしょう.

所長はこの球(CZ501V)を 2A3(SOVTEK,米管) シングルに使っています.
回路は WE-91B の初段を省いた状態,1 段増幅で使っています.
2A3(SOVTEK)との相性も良く,結構いい音に聞こえます.
2A3(RCA, Westinghouse, Sylvania) に変えても,しゃきっとした中に
柔らかさを含んだ良い感じ(勝手な思い込みかな)です.





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