今日名を知られている管球メーカーはどの位有るのでしょうか.
米国系の手持ち球のメーカを上げてみるだけでも,WE, RCA, SYLVANIA,
KEN-RAD, NATIONAL UNION, GE, WESTING HOUSE, HYTRON などなど,
かなりの数があります.
これらのメーカー間では,OEM により相互販売していたため,
販売された球の本当のメーカーを特定することはかなり困難です.
特に,WE は早々に製造をやめたようで,OEM ではない,本来の WE 製は,
いったいどれほど有るのでしょうか・・・・?
30〜40 年前からですが,5R4-G に黄色のペイントで,
Western Electric 274B と印字して,堂々と輸出していた米商社は,
1 社や 2 社ではありませんでした.
この様な詐欺まがいの行為が平然と行われていました.
もっとも,米国では同じように使えれば名前なんていいじゃないか,
と言ういい加減さ故に,日本人向けに起こったとも思いますが・・・・・・.
本題からそれますが,
VT-52 の UX ソケットを US ソケットに付け替え,6B4-G と印字した,
球を入手しましたが,まったく呆れたものです.
これなどは,VT52 として売った方が高く売れるのにです.
求められた 6B4-G が無いから,まぁ,なんとか使えるから良いか?
で,泥縄で行ったのではないかと想像しています.アメリカらしいなぁ?
それでは,メーカーが特定できれば,が前提になりますが,
30 年以上前において,どのメーカーが最も人気が有ったかというと,
圧倒的に RCA だったように記憶しています.WE は別ですヨ.
ところが,今日手持ち球を調べてみると,
RCA と他社製の球が,どう見ても同じ???場合があります.
値段は,当時 RCA のみ 1.5〜2 倍もしたのにぃ.
勿論,OEM で有ることは予想できます,今ならですけど.
手持ちの同一規格球を並べると,別社名で結構同じものがあります.
でも,何となく納得がいかない!!RCA は高かったんです!
ま,いずれも米国産の球ですから大した問題ではありません.
ところが,1970 年代以降の米球の中には,ロシア・東欧で OEM 生産された
球が入ってきているようです.
私は確認していませんが,1980 年代以降には,ひょっとしたら,中国製も?・・,
と勘ぐりたくなります.
色々な球を入手し,また,知人の球を拝見した結果,
1930 年代から 1950 年代の米球は,あまりメーカーに
拘らない方が良さそうです.
性能や,特性のばらつきにしても,いずれも似たり寄ったりです.
むしろ,電極構造の違い(音に差があります)などを実際に確認して,
好みの球を探すのが最も良さそうです.
欧州管についてはどうでしょうか,
1950 年代以前は,メーカーにより規格が異なり,
米球のように複雑な OEM 供給はされていなかったようです.
つまり,製造メーカーと販売会社(ちょっと複雑?)さえ分かっていれば,
疑う余地は余りないように思います.
問題は,1970 年代以降です.
松下電器で製造した EL34 は,Philips(蘭) や Mullard(英)に
OEM 供給されていたことは周知の事実です.
また,私の手持ちに,5V4-G(ロシヤ)が有りますが,これは,当研究所顧問の
F 教授が,Philips の GZ-32 と同じであることを実物により確認して,
知らせてくれましたので,購入したものです.
Philips に供給されたと言うことは,勿論,Mullard にも供給されているはずです.
Mullard は Philips の子会社ですものね.
その電極を見ると,昔,西欧で製造された GZ-32 とは明らかに違う電極構造です.
昔と同じ電極構造の球は,4V 系の整流管や 5Z4-G の一部などにありますが,
入手はかなり困難かと思います.
GZ-34, EL34 もまた然り!
この年代以降の球は,東欧かロシヤ製の場合がほとんどです.
Mullard では製造していないのですから,OEM 以外には無いはずです.
況や MT 管に於いて乎.
ここで,お断りをしておきたいのですが,ロシヤ・東欧製が,
粗悪であると言っているわけではありません.
なんと言っても,2A3 などは,Sovtek 製がお気に入りですから.
問題なのは,球への有名メーカー名の印字だけで,
法外に高い値段を付けて売られていることです.
何故,小さな商社においてすら好き勝手に出来る球への簡単な印字を
ありがたがっているのでしょうか,
ロシア製 5V4-G --> Mullard GZ-32 など造作もないことです.
良心的な販売店は,絡繰りをちゃんと説明をしてくれますが,
その代わり,ぼろ儲けは出来ないでしょうねェ.
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