定年を迎え時間ゆとりができました.
ゆとりというよりも,暇ができすぎました.
おかげでゆっくりといろいろな音楽を聴くことができるようになりました.
最も楽な効き方は,FM を流しっぱなしにすることです.
1ヶ月ほど,アンプの設計などをしながら聴いていて,
つくづく音楽のジャンルによって基本的な音作りの差があることが解ってきました.
通常は古典派から前期ロマン派を中心に聴いていますが,
FM放送では結構な量の歌謡曲系の放送があります.
たぶん,大部分は CD からの再生では無いかと思います.
これらの曲を当研究所の Main System で聴きますと,
なんとも聴きづらい,聞き続けるのが苦痛になってきます.
ボコボコと中低音が強調されていています.
ところが,これらの歌謡曲を Altec 409 で聴くと,
まるで魔法のごとく聞きやすく,いい音に変わります.
なんとなく,出るはずの無い低音まで聞こえてきます.
この Altec 409E は退職により研究室から持ち帰るとき,
あまりの外観の無骨さとその大きさからクレームがあり,
昔のサンスイ製組格子キャビネット(改造 SP70)へ変えた SP です.
見た目は木の組格子のおかげで自作では無理と思えるほど良くなりましたが,
容量が減り,バスレフダクトも小さくなり,より低音は出なくなっています.
ご存じの通り,この SP は悲しくなるほど、まるで低音が出ません.
ところが,決して低くはありませんが,ちゃんと低音が出てるように聞こえます.
これは,まさに我が耳が何らかの補正をかけているに違いありません.
同様に,某有名メーカ製ヘッドホンでも低音が聞こえます.
しかし,15'(38cm)のウーファーから歌謡曲を聞くと,聴けたモノではありません.
まるで,昔,私が小学生の時の実家にあった電蓄で,
ボリュームエキスパンダーを働かせたときのとよく似た音です.
これはもしかしたら歌謡曲は意図的な音作り,かなり手を加えたかもしれないと思いました.
それにしても,中低音を強調した音作りで,なぜ小口径 SP から一見まともな音が出せるのか,
これは調べてみる価値がありそうです.
疑問があると生来の性格から実験をしたくなってしまいました.
低音が出ている領域をアナログ的に切り出せれば,
手持ちの FFT アナライザーで各周波数の intensity を計算すれば,
簡単,且つ,正確に解析できるのですが,問題はこの切り出しです!
これは簡単にはいきません,とても根気が続きそうにありません.
そこで,困ったときの耳頼り,楽をしましょう.
図書館から歌謡曲の CD を借りてきて,
なぜか図書館の貸し出し CD には,歌謡曲が大量にあります,
そこから MP3 File を作成しました(違法でしょうか?).
これで,少なくとも,高域の周波数特性は変わるはずです.
レートは,128, 160, 192, 256 kbps,320kbps で行いました.
参照のために,ベーム指揮ベルリンフィルのモーツアルト交響曲も変換をしました.
SPでは,明らかにビットレートの低下が聴くと善し悪しは別にして顕著に解ります.
ヘッドフォンでは,歌謡曲,交響曲共に192kbps以上では変わりません.
160kbps以下では,交響曲は明らかに音が薄っぺら,音質低下が解ります.
しかし,歌謡曲ではそれがあまり解らないのです?
ついでに,128kbps でも確認をやってみました.
何度も聞くと,確かに変化が解りますが,聴くに堪えないほどではありません.
こんなモノかなと思うと,全く苦にならない程度の変化です.
Altec 409E ではヘッドフォンと同じ結果でした.
MP3 File は USB Memory に入れて置きましたので,
カーステレオでも聴いてみました.
320kbps でも 128kbps でも,交響曲でも歌謡曲でもさほど変わりがありません.
外からのノイズが激しく,耳が勝手にフィルターをかけているようです.
まぁ,カーステレオですからこんなところでしょう.
悪環境下では,金・時間・労力をかけても,それらに見合った効果は得られなさそうです.
理論的には,MP3 にしても低域はそれほど悪化しないのでは無いかと思っていましたが,
なんと,明らかに低域でも ビットレートの影響は相当なモノでした.
交響曲を低いレートにすると,Main System では聴くに堪えなくなりました.
音質の悪化などと暢気なことを言っている状況ではありません.
ここまでやってみると,やはりもう一つ実験をやってみたくなりました.
Main System 入力に直列に 47μFをつないでみました.
これで,単純な理論的には 400Hz 以下に 6dB/oct の フィルターがかかります.
これで歌謡曲を聴いてみますと,アラ不思議,低音不足ですが結構聴けます.
128kbps でも,320kbpsでもさほど音質は変わりがありません.
やはり,歌謡曲ではかなり中低音を持ち上げた音作りがされているようです.
それなりのスピーカで聞くのが正当なのかもしれません.
最も,フィルターを入れtまで大型スピーカで聴くなんてあり得ませんし,
こんなこと実際にやる意味はありません.
他にいくらでも SP がありますので,わざわざまともな System を使う必要などありません.
結論ですが,まともな SP では,やはり少なくとも320kbps は最低必要です.
ヘッドフォンや小型 SP では,192kbps で十分です.
最も,電車移動とか,旅先のホテル以外では,
あんな鬱陶しいヘッドフォンなんて使うことなどありませんので,
わざわざビットレートを分けることも無いしょう.
悲しいことに,所長の持っている携帯 Player は,旧式のため,
内蔵が4GB,外付けが 8GB ですので,当面は 192kbps にせざるを得ません.
やはり,外出時でも,数10曲は持って行きたいですからね.
めんどくさい,とほほ・・・です,.