現在世界的に見て真空管を大量生産をしている国はおそらく中国だけではないでしょうか.
ある意味貴重な生産国です.
この中国製の真空管,おそらく技術的・製品的にはメーカで余り変わりは無いと思っています.
通信用やラジオ用は昔からソ連の技術で作られていましたが,
オーディオ用はおそらく東欧から中古製造機械と技術を導入して行っていますので,
何処も似たり寄ったりだと思っています.
ところが,その価格は実に驚くほどの差が有ります.
2A3一つを取り上げても,\2000〜\20000、,何と 10 倍の差が有ります.
昔,300B や 2A3 などの球で,ロシア製である,Svetlana と Sovtek では評価に差がありました.
これは何故,と不思議でしたが,どうやらこれは日本の小さな取り扱い商社が,
雑誌社と結託をして情報操作を行ったためであると思われます.
生産会社・工場によって素材などに差があり,製品にも差がありますが,
製品のバラツキや性能などには大きな差が無く,どちらも耐久性にも問題なかったと思います.
音(特性や歪み)は好みの問題ですので,これはそれぞれ気に入った方を選択すれば良いことです.
問題はやはり価格,貧乏人には安い方が良いはずです.
私を双方を聞き比べて,迷うこと無く Sovtek を買いました.
その後は中国製しか新たな球は,販売されなくなりました.
と言っても中古機械を買ってきての生産再開ですから,
オーディオ専用管は,ほとんどがこれまでに作られた球の復刻です.
儲かるなら何でもやる中国,真空管製造会社も数社有るようです.
(ある意味余り興味がありませんので調査もしていません)
ここで疑問は,ロシアでは 2 倍の差,ところが中国では 10倍の差.
何故ここまでの差がつくのか理解に苦しみます.
Grid を金メッキ,そんなもの製造値段的にはでは誤差です.
製造機械もほぼ同じ中古,材料にしても大差なし,どうにも腑に落ちません.
これはどう考えても我が国の業者による策略ではないでしょうか.
そうは言っても,私も中国球を買いました,消耗品的な整流管とMT管,
ただ,12AU7 増幅率が 12AT7 に近かったり,12AX7の増幅率が 12AT7より低い,
なんて???があり,測定しなければ使い物にならないことも実感しました.
値段が値段だけに,まぁ仕方ないと思いました.
測定して使えば良いだけです,それが価格差と納得出来ます.
問題は,馬鹿高い球です,高いのが問題か,そうとも言えないかもしれません.
しかし,ちょっとした,こけおどし的な外観だけで,10 倍は無いんじゃないでしょうか.
昔,岡谷電機(一部上場の大企業)が 300B を作ったことがあります.
そりゃ大企業ですから研究施設も完備,原料の組成分析(恐ろしく高価な分析機)も行い,
同じ材料・製造方法をとることができました.
その後,我が国でも同じように銘打った 300B を出したガレージメーカーもありました.
そりゃぁダメでしょう,そんな小企業で原料分析も製造管理も出来るはずもありません.
派手な宣伝をしていましたが,いつの間にか消えてしまいました.
あの値段を出して買う価値は無いと思いますから,当然の結果です.
同じ事が中国球でも有るように思えます,有るメーカーなどが,またぞろ復刻版の球と銘打って,
馬鹿高い球を作って売っていますが,中身はさほど変わりがあるはずないでしょう.
こんな商売をやって善人を欺して良いものでしょうか.
これって詐欺に近いんじゃないでしょうか.
一体誰がこんな球買うの?買う価値があるの?どなたか教えて頂きたい.
安ければ買いますよ,それなりの価値がありますから,そうは言っても,
骨董的な価値は全く有りません,私が買うなら昔の球を買います.
単に個人的なロマンだけですけど.
(追)
12AU7と銘打った球ですが,何と12AY7相当の球が有ります.
細かく言えば差がありますし,音質までは云々できません.
しかし,増幅率が 30 以上あり,内部抵抗もほんの僅か 12AU7 より高いだけ.
値段はもちろん 12AU7 と同じですから,使いようでは価値があるかもしれません.
粗製乱造も結構価値があるかも.
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