今を去ること15〜6年前に,当時のメイン SP であったP610Ax2 バックロードホーン SP が故障し, 音出し道具がなかったため,急遽,安いユニットを 探していたときに見つけた SP です. 当時の各社カタログを見ますと,自作者には Fostex が最も人気が高く,製作記時も多かった ように記憶しています. 普通ならば,Fostex を選択するところですが, 問題が 2 つありました. 値段が高いことと能率が低いことです. とにかく貧乏人には,高価=手が届かない,で,もっと安くて使いやすい SP を. さらに,できれば能率も最低 90dB は欲しい. 狭い県営アパート住まいでしたので,装置を置く場所などありません. と言うことで,ミニシステムを作ろうと思っていましたので,箱の容積も 10 リットル程度を 考えていました.口径は10〜12cm 程度となります. アンプの出力管は,廃棄通信機からの抜き取りである,UX-12A でした. どう頑張っても,0.5w 止まりですから,低能率の SP では鳴りません. カタログを調べて,選定したのが,10F10です. 現在,このユニットは,容積 20 リットルのバスレフ箱に, EV の 205-8A と一緒に付けています. 規格では,70〜20kHz,能率 92dB/w-m となかなかのモノです. ではこの時に選定した10F10 の音質はというと, 当然低域は出ません.聴いた感覚では,100Hz〜 が再生帯域です. 出ている音は,国産らしく,バランスの良い柔らかな音です. 太鼓の音はそれらしく聞こえますが,チェロはちょっと無理です. 派手さはありませんが,バックグラウンドでならすにはちょうど良いと思います. \2800 の値段の価値は十分にあり,0.5w の UX-12A でも十分に実用になります. ただし,低音欠落でので,当然の事ながら,メイン機にはなりません. 残念ながら,このユニットも製造・販売は終了しています. 中古市場には,新古品が定価とあまり変わらぬ値段で時々出ているようです. さらに,この SP では,ハムは再生不可能です. これは,長所なのか短所なのか・・・.