E2d,旧ドイツ逓信省専用の通信管で,
独 Post 7 Pin と称する球で,
独特の専用ソケットを要します.
同じような系列の球には,かの有名な
Ed, Da,Ca などの直熱三極出力管や,
傍熱多極管では,E2c,E2e などが国内外で入手できます.
もちろん,ドイツ逓信省が廃止されたおかげで,
入手できるようになったのであって,
それまでは民間には出回らなかった,高価な通信管です.
幸いなことに??ドイツ逓信省が廃止になり,
それまでストックしていた球が放出され,
しかも,信じられないくらい安い値段で叩き売られてきました.
通信管ですから,かなり長い耐用年数を保証されていると思います.
所長も F 名誉教授も当然この球には飛びつきました.
しかし,ただ長持ちするだけでは,オーディオマニアとしては今ひとつ納得がいきません.
一番重要な音質を確認してみる必要があります.
おっちょこちょいの所長は,何かめぼしい球の情報があると,
衝動的に購入してしまうところがありますが,もしかしたら,
この E2d も・・・,と不安になっていました.
何せ,直熱三極送信管では見事な大失敗をやらかしていますからねぇ.
Hi-μ型送信管をふつうに造れば,低域も高域もでない,高歪みアンプですから.
不安半ば,期待半ば,で試聴を行いました.
初段管として,やはり,ドイツ逓信省専用通信管を用いるのが筋でしょう,
と言うことで,C3g(T)を用いました.
Bi,Aa,Ba,AC102 などの独 Post 管の使用もありましたが,
45 と 71A との比較もあり,C3g(T) となりました.
整流管は 5X3 です.ここも,出来れば,Z2b (独 Post 7Pin)を使いたいところですが,
やはり,比較のために,あえて 5X3 としました.
それで,試聴を終えての感想です.
エッ,と驚く音です.
一般的これまで聴いてきた傍熱管の音は,力強いが,キレや爽やかさに欠けるのが普通でした.
ところが,E2d(T) の音は,キレがあり,モヤモヤとした傍熱管の欠点が聞こえません.
まるで,傍熱管を感じさせない音です.一瞬,直熱管かなと思わせられました.
すばらしい!,さすが,ドイツの通信管と唸らされてしまいました.
国内でも,\4000〜\5000と通信管にしては きわめて安価ですし,
4V 1.5A 傍熱管という造りやすさを考慮すれば,これは 1 押しの球です.
馬の耳による試聴記へ
ホームへ