米管 その2 45-46-47

























かねてから気になっていた直熱管の中で,これまでマニアの中で定評のある UX-45
ですが,いかんせん、かなり高価ですし,今後の入手を考えると,今ひとつ安価で
豊富に出回っている代替えの球がないものでしょうか.

で,浅野氏が 45 代替えに UY-46 の A 級使用をあげられてから,
ズーと気になっていましたので,シリーズにつながる 47(T) を加えて
いつもの試聴を行ってみました.出力はいずれもほぼ同じです.


初段管として,もっとも標準的?な 76 を用いました.
俗に言う所では,音に色の付きにくい球です.
整流管は 5X3 です.電源インピーダンスが結構音質に影響をしますので固定しました.
出力トランスは,BTS 規格に対応したもので,1次インダクタンスも十分で,
可聴周波数帯域は十分にカバーできるものです.
Lux, 山水, タンゴなどの中級トランスでは,低域の比較が困難でしょう.
SP には 15インチも使いましたので,安物 OPT では心許ないので,あえて BTS 級としました.
音源は CD (ベートーベン Pコン)で,SP は P610A と Tannoy 15" です.


以下は簡単な感想です.45 については感想が変わりませんでしたので, 米管 その1 と
同じ文章を再掲しました.

45     :米国を代表する名出力管の名に恥じない良い音.音質は直熱管特有のキレがあり,
         爽やか.やはり,深窓の令嬢と言った感じです.
         意外に腰の強さもあり,米国系で Amp 1台ならば,これが最適!
         後の試聴は要らないか・・,との冗談が出る音です.

46     :もっとも期待した球でした.浅野氏の影響とも思えますが、巷では、45 代替管として、
	 認知されているように思えます。
 	 実際に聴いてみると、直熱管特有のキレがあるものの,どこか多少柔らかい音
         どことなく 2A3 に似ているような感じで,やはり,ボケた音の印象はぬぐえません.
         浅野氏は PP で 45 の音色を出せたと評されましたが,何度聞いても,Single 動作では,
         かなり音質は異なります.45 のような爽やかさはありません.・・残念!

47(T)  :価格からですが,これが良ければ最も存在価値がありそうです.
	 出てきた音を聞いて,ウーーンと唸ってしまいました.音質的には,46 と同じです.
         聴いた印象は,全く,2A3 そのものの音です.
	 その意味では,値段の安いことはかなり優位に立つかなと思います.
	 音質からは,やはり,45 と比較することには無理があるようです.45 のキレと爽やかさは,
	 残念ながら感じられません.


試聴を終えての総評です.

結論として二人の意見は,45 の代替えは無理!ということになりました.
45,71A などに顕著な,微妙な音のニュアンスが多少マスクされているように感じます.

46 や 47(T) を貶したような内容になってしまいましたが,真意は違います.

お間違えの無いようにして頂きたいのは,この感想は,いずれも 45 と比較すると,
と言う条件下においてです.つまり,それだけ 45 の完成度が高いということでしょう.
45 の音を聞かないで,46,47(T) を聴けば,決して不満の出る音質ではありません.

ST16 の大きな球で,貫禄は十分ですし,何にも増してその価格は魅力です.
再生産の新しい規格の球はありませんが,供給にも不安はないようです.

電極の大きさは,写真でもお解りと思いますが,3種ともほぼ同じです.
余分に入った? Grid がやはり音質に作用しているのでしょうか.
45 をお持ちでなければ,入手してアンプを組まれるのも良さそうですが,
もし,45 をお持ちならば,わざわざ新たに購入されなくてもいいかなと思います.

さらに,もし,ですが,45 をお持ちでなく,直熱三極管の使用を考えておられるならば,
2A3 を買う必要はなく,46 か 47 の三結で十分です.貴重な欧米製の 2A3 でもです.
音質的には,非常によく似ていますし,直熱管の特徴も十分認められます.
出力的にも,2A3:3.5W で 46, 47(T):1.5W その差は SP を経由すると,
聞こえる音圧からは誤差の範囲です.

我が家のロシア製 2A3 はいい音を出していますが,
お下がりの老朽製造設備を使って,いい加減に作ったとしか思えない,
近隣国再生産の 2A3 を買うよりも,よっぽどマシな音が出ます.




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